震災時に活用できるテレワーク

オフィスに集わずそれぞれが自宅などで仕事をするテレワークが、東日本大震災をきっかけに増加しています。なぜ、そのような動きが見られるのか、テレワークの特徴とあわせて解説します。

■東日本大震災とテレワーク

AS_93835970東日本大震災の際、広範囲にわたる公共交通機関の乱れが日本経済にもたらした打撃は相当なものでした。さらに、震災当日は多数の帰宅困難者を出してしまったことも問題視されています。そもそも、オフィスに集まることなくそれぞれの自宅などで仕事をしていれば、このような問題は発生しなかったはずです。

また、東日本大震災後には計画停電が数か所で実施されました。計画停電エリアに所在していたオフィスは、その間の業務は中止せざるを得ませんでした。しかし、テレワークによって数カ所にオフィス機能を分散させておけば、そのようなリスクを軽減することもできます。東日本大震災をきっかけに節電が見直されるようになりましたが、オフィスを維持するには相当な電気代が必要です。そのため、節電対策としての側面もあることから、テレワークが注目されるようになりました。

政府の方針としても、2011年5月13日に電力需要緊急対策本部で「夏季の電力需給対策について」を決定しています。その中で『テレワーク(在宅勤務等)などを通じ、ライフスタイルの変革等を進めることにより、節電を図る』ことが目標として定められました。

■BCPとは?

東日本大震災をきっかけに、BCP(事業継続計画)の一環としてテレワークを採用する企業が増えています。BCPは、企業が地震などの自然災害、テロ攻撃、大火災等に遭遇した時に、その被害を最小限に食いとどめることができるよう、日頃から緊急時に事業継続できるような方法や手段を計画しておくことです。いかに事業資産の損害を最小限にし、中核となる事業を継続できるか、もし一時中断してしまった場合にはいかに早期復旧を可能にするかがBCPのカギになります。

緊急事態の経済的な打撃は大企業よりも中小企業で顕著です。経営基盤の脆弱性を突かれた結果、従業員の解雇や廃業に追い込まれることさえあります。一方、BCPを導入している企業ならば、緊急時でも中心となる事業を維持もしくは早期復旧することができます。迅速な回復力によって市場の信頼を得て、事業がさらに拡大することも期待できるはずです。もちろん、大企業はBCP対策をしっかりと講じることで危機管理能力を証明できます。顧客の信頼を得て、市場関係者から高い評価を受けるためにもBCPは非常に有効な手段なのです。

■震災以降増えているテレワーク

AS_88390339実際に東日本大震災をきっかけにテレワークを導入した企業はどれぐらい増えたのでしょうか。調査会社IDCジャパンのリサーチによれば、2011年から2013年の3年間で職種によって30%から60%の増加が見られたとのことです(従業員10名以上の1058社を対象にアンケート調査を行い、796社からの回答を集計)。

導入について高い上昇率が見られたのが営業職などの外勤者です。震災直後の2011年7月には34%しかいなかったテレワーク外勤者が、今回の調査では65%にも上りました。IDCによると、2012年に1390万人だったテレワーク人口は、2017年には1650万人に増加すると予想しています。さらに、情報システム構築などのテレワーク関連市場は2017年には1兆円を超える見込みです。

以上のように東日本大震災をきっかけとして、節電や危機管理のために注目されたテレワークですが、現在では新しいライフスタイルを構築するものとしてさらに定着が進もうとしています。少ない資源であらゆる状況に柔軟かつタフに対応することができるテレワークは、激動の21世紀をサバイバルする決め手になるでしょう。